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薬剤性光線過敏症を化学構造から考える

こんにちは、薬学個別指導/薬学オンライン家庭教師・自習スペース・イベントスペース運営の「Commew(コミュー)」です。

今回は「薬剤性光線過敏症」についてお話させていただきます。

薬剤性光線過敏症は、読んで字のごとく、薬を使用することによって引き起こされる光線過敏症です。
薬剤の服用、あるいは、外用後に光照射を受けることにより発症する場合があります。
主な症状は、皮膚の痒みや赤み、発疹、水ぶくれなどです。

では、薬剤性光線過敏症と聞いて、その原因となり得る医薬品はどのようなものが頭に浮かびますか?

光線過敏症の副作用をもつ代表的な薬剤には、モーラステープ(成分名:ケトプロフェン)やミノマイシン(成分名:ミノサイクリン)などがあります。
その他、フェノチアジン系向精神薬やチアジド系降圧利尿剤、スルホニル尿素系血糖降下剤、ニュ-キノロン系抗菌剤などにも光線過敏症の原因物質となり得るものが存在します。

ではここで問題です。

「薬剤性光線過敏症は、どのような機構で生じるでしょうか?」
ケトプロフェンの化学構造と、ミノマイシンの化学構造を見比べながら考えてみてください!







答え合わせです。

まず、両構造式には、長い共役系が存在しています(二重結合(または三重結合)と単結合が交互に並んでいるのが共役系です)。

共役系を有するということは、ラジカルなどの反応中間体が生じた際に、共鳴安定化することが「可能」なわけです。
言い方を変えると、「共鳴安定化することができるので、通常は不安定で生成しにくいラジカルなどが生成しやすい」とも言えます。

つまり、この長い共役系を有する薬剤が光(紫外線)に曝露されると、光のエネルギーによりラジカルが生成します。
生じたラジカルは非常に反応性に富む反応中間体であるため、皮膚のタンパクと反応、結合し、それが異物となる(抗原化する)ことで過度の免疫反応を引き起こし、その結果、薬剤性光線過敏症を発症します。

「ラジカル反応」と聞くと、どうしても有機化学や衛生などの科目で勉強するイメージが強いかもしれません。ただ、そのキーワードや化学構造などから、期待される効果や起こり得る副作用を考えることもできるんです。

化学は化学!
薬理は薬理!
物理は物理!
衛生は衛生!
病態・薬物治療は病態・薬物治療治療!
薬物動態は薬物動態 !
実務は実務!などと、それぞれの学問で切り分けてしまうと勿体ないです。
色々な知識をボーダーレスに活用できるようになれば、勉強をするモチベーションにもなりますし、薬剤師としての職能を大いに活かすことができるようになると思います。参考にしていただければ嬉しいです!

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