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薬剤師国家試験出題基準(第106回薬剤師国家試験以降適用)

薬剤師国家試験出題基準
平成28年11月22日 医道審議会薬剤師分科会 薬剤師国家試験出題基準改定部会

薬剤師国家試験出題基準(以下、「出題基準」という。)は、薬剤師国家試験委員が試験問題を作成するうえで「妥当な出題範囲」と「ほぼ一定の問題水準」を保つために策定される基準であり、その内容については、学術の進歩及び薬剤師業務の変化に伴い、おおむね4年を目途に見直しを行い、薬剤師国家試験の改善を図っていくこととされています。

2012年(平成25年)12月に薬学教育モデル・コアカリキュラムが6年制課程に特化した内容に改訂され(以下、「改訂モデル・コアカリキュラム」という。)、2020年度(令和2年度)には、改訂モデル・コアカリキュラムの下で6年制課程を修了する薬学生が国家試験を受験することから、医道審議会薬剤師分科会薬剤師国家試験出題基準改定部会において出題基準の改定に向けた検討が行われました。

本出題基準は、医道審議会薬剤師分科会薬剤師国家試験制度改善検討部会において、2016年(平成28年)2月にまとめられた「薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針」に基づき、改訂モデル・コアカリキュラムの内容を基本とし、医学・薬学の進歩と現状を踏まえて策定されたものです。

試験科目

試験科目は、薬剤師法施行規則の規定により、「物理・化学・生物」、「衛生」、「薬理」、「薬剤」、「病態・薬物治療」、「法規・制度・倫理」及び「実務」とする。

出題の考え方

① 全般的な出題の考え方
・薬剤師として具備しなければならない基本的な知識、技能及び態度を評価する問題とする。
・高い倫理観、医療人としての教養及び医療現場で通用する実践力を確認することに配慮する。
・7科目の内容については、相互に関連していることから、具体的な問題の作成に当たっては、重複のないよう科目間の調整には十分な配慮が必要である。
・資格試験として過度に難解な問題は避ける。
・問題の文章構成や条件設定に留意し、解答すべき設問肢の数が1つではない場合には、正解数を明記することを基本とする。
・分野ごとに問題の難易度が偏らないことを基本とする。
・可能な限り、正しいもの(又は正しいものの組合せ)を問う問題とする。
・画像や写真等を利用した問題の出題も検討する。
・各種基準等の数値は、記憶することが必須又は極めて有用な数値である場合を除いて、数値そのものを問う出題はしないこととする。
・各試験法を問う出題については、保健衛生上の意義が大きく、かつ、当該科目において汎用されているもの、又は原理的に重要なもののみを出題し、その意義、測定原理等、試験又は測定実施のために必要とされる基礎知識を問うこととする。また、専門業務において習得すべき操作等の詳細は出題しないこととする。
・末梢的な事項や、一部の例外的な事項を取り上げるような問題の出題はできるだけ避ける。

② 必須問題及び一般問題における出題の考え方
【必須問題】
・必須問題は、医療の担い手である薬剤師として特に必要不可欠な基本的な資質を確認するものであることにかんがみ、各科目における基礎的な内容を問うものとする。
・五肢択一形式で問うことを基本とする。なお、正しい解答肢の組合せを問う形式や、解答肢の正誤の組合せを問う形式はとらない。

【一般問題】
・一般問題は、薬剤師が直面する一般的な課題を解釈・解決するための資質を確認するものであることにかんがみ、一般問題(薬学理論問題)は各科目における技能・態度を含む薬学の理論に基づいた問題となるよう留意する。
・一般問題(薬学実践問題)は、医療や公衆衛生等の実務において直面する一般的な課題を解決するための基礎力、実践力及び総合力を確認するため、症例、事例を挙げる等、実践に則した問題となるよう留意する。

③ 各科目における出題の考え方
【物理・化学・生物】
・「物理」は、医薬品を含む化学物質を理解する上で必要な物理化学的・分析化学的な基礎知識及び考え方が身についているかどうかを問うこと
に重点を置いた問題を中心に出題する。
・「化学」は、「医薬品・生体分子の性質を理解すること」を主題とし、有機化合物としての医薬品・生体分子の物性、反応性及び分子レベルで
の作用機序等に関する基礎の理解と、基本的な知識を複数組み合わせた応用力を問う問題を中心に出題する。
・「生物」は、生体の構造、機能及び生体成分の代謝等に関する基礎知識を問う問題を中心に出題する。また、感染症の病原体、免疫の仕組み等に関する基礎知識を問う問題を出題する。
・物理、化学及び生物それぞれの問題数が偏らないように留意して出題する。
・「物理・化学・生物」では、小項目ごとに記載された留意事項を考慮しながら、薬剤師の臨床現場との関連性が高い問題を出題する。

【衛生】
・「衛生」は、薬剤師による健康増進・疾病予防、環境衛生の管理を理解する上で必要となる基礎科学である衛生化学・公衆衛生学、栄養化学、環境科学、毒性学、環境微生物学、疫学及び生態学等の基礎知識について出題する。
・衛生関係法規として、食品衛生法、食品表示法、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、予防接種法、健康増進法、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律、環境基本法その他環境保全に係る法規、及び学校保健安全法については、「衛生」において出題する。
・医薬品の体内動態は原則として「薬剤」で出題されるが、薬毒物を含む代表的な有害化学物質の体内動態は「衛生」において出題する。また、栄養化学については、構造等の基本的な知識は原則として「物理・化学・
生物」において、その栄養学的内容は「衛生」において出題する。
・「衛生」では、小項目ごとに記載された留意事項を考慮しながら、薬剤師の臨床現場との関連性が高い問題を出題する。

【薬理】
・「薬理」は、薬理作用や作用機序に関する基礎知識(総論)及び代表的な治療薬の薬理作用や作用機序(各論)を中心に出題する。
・臨床適用時の副作用・相互作用や剤形が問題となる場合を除いて、薬物名は塩等を付さない薬物本体のみを表記することを基本とする。

【薬剤】
・「薬剤」は、薬物の体内動態及び製剤に関する基礎知識を問う問題とする。また、これらの問題数が偏らないように留意して出題する。

【病態・薬物治療】
・「病態・薬物治療」は、患者の病態生理を理解し、適正かつ安全な薬物治療法の遂行等のために必要な知識を問うこととし、代表的な疾患の病態生理(基本的な臨床検査も含む)、適切な治療薬の選択と使用上の注意、薬物治療に役立つ情報(医薬品情報、患者情報、個別化医療)及び臨床研究デザインや生物統計について出題する。
・治療薬の薬理作用や作用機序に関しては「薬理」において出題することを基本とする。

【法規・制度・倫理】
・「法規・制度・倫理」は、薬剤師としての業務を遂行するために必要な法的知識及びこれらの関連する各種の制度並びに医療の担い手としての任務を遂行するために保持すべき倫理規範的知識や態度について問う問題を出題する。
・法律等に照らして薬剤師の行動等の適正性を問うような問題も出題する。
・法規制の原則又は例外に焦点を当てた問題を出題する場合には、場面設定を行う等、原則を問う問題か、例外を問う問題かが明確になるよう配慮する。
・法令、制度の新設や改正内容に関する設問は、当該法令等の改正内容が周知されるまでの間は、原則として出題しないものとする。
・法律のうち、衛生科目で出題される法規は原則として出題しないものとする。

【実務】
・「実務」は、医療や公衆衛生等に携わる薬剤師の業務に関する基礎的及び実践的な知識、技能及び態度を問う問題を出題する。
・「実務」は、薬剤師が、医薬品を一商品としてではなく、生命と関連性が高いものであることを常に意識し、患者を支援し、副作用の早期発見・発生防止に努めることを含め、医薬品の安全性と有効性の確保のために薬の専門家として業務に携わるべきことを理解しているかを問うこととする。
・患者の希望に沿った医療に貢献できるよう人間関係の必要性を理解し、薬物の適正使用のための情報提供ができるか等を問う問題を出題することとする。
・実践に即した問題抽出・解決能力を確認する観点から、実践の場で取り得る解答肢の中から最も適切なものを選択する問題も出題する。
・「実務」は、他科目すべてと関連することから、重複のないよう科目間の調整には十分な配慮が必要となる。

適用時期と次回改定

本出題基準については、第106回薬剤師国家試験(令和2年度実施)から適用する。
また、出題基準については、学術の進歩及び薬剤師業務の変化に伴い、おおむね4年を目途に改定する。

出典:「薬剤師国家試験出題基準」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/000573951.pdf(最終閲覧日:2018年2月9日)
詳しくはこちら(PDFデータ 「薬剤師国家試験出題基準(第106回薬剤師国家試験以降適用)」(厚生労働省))

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