予防接種に関する変更点(2020年10月1日より)
こんにちは、薬学個別指導/薬学オンライン家庭教師の「Commew(コミュー)」です。
本日2020年10月1日から、酒税の一部改定が始まるなど、色々な制度の変更が始まります。
その中でも、把握すべき情報の一つに「予防接種」があります。
定期試験、CBT試験や薬剤師国家試験に向けても情報を更新しましょう。
今回その「予防接種」に関する情報更新について大きく2点お伝えさせていただきます。
変更点1)定期の予防接種(A類疾病)の対象疾病にロタウイルス感染症が追加
変更点2)ワクチンの接種間隔のルール変更
目次
変更点1)予防接種法の定期の予防接種(A類疾病)の対象疾病にロタウイルス感染症が追加
ロタウイルスは、高い感染力や疾病負荷(生後3カ月以降に初感染すると重症化しやすくなる)があります。また、ワクチンによるロタウイルス胃腸炎の発症防止効果や集団効果を踏まえ、ロタウイルス感染症は、「予防接種法」において主に集団予防に重点を置く定期の予防接種(A類疾病)に位置づけられました。
ロタウイルス感染症とロタウイルスワクチンについて
1.感染経路
ロタウイルスは汚染された手や物を介して、糞口感染(感染者の便に含まれるウイルスに触れ、それが口から体内へ入ること)します。
感染した下痢便には多量のウイルス粒子が含まれています。その数は、便1g中に100億~1000億個のウイルス粒子が含まれますが、またその感染力は強く、わずか10~100個程度で感染するため、衛生状態に関わりなく発症する危険度が高いです。
2.症状
症状は、初感染時が最も重症です。
感染後は、2~4日間の潜伏経路をおいて、米のとぎ汁のような白色便(灰白色便)である下痢等を伴う急性胃腸炎(ロタウイルス胃腸炎)、脱水を起こし、通常1~2週間で自然治癒しますが、脱水がひどくなると、けいれん、肝機能異常、腎不全、まれに急性脳症等を合併します。
発症メカニズムは、感染したウイルスが主に小腸で増殖し、小腸絨毛細胞を破壊し吸収不良を起こし、また細胞外の毒素(エンテロトキシン)による透過性の増大を引き起こすことなどが考えられています。
3.初感染を注意すべき時期・年齢
生後3カ月までは母体由来の免疫によって症状は出にくかったり、もしくは軽症で済みます。
しかしロタウイルス感染症は、生後3カ月以降に初感染すると重症化しやすくなります。脱水症状や症状の重症度は、他のウイルス性胃腸炎より重いことが多く、主に生後4~23カ月(2歳未満)の乳幼児に認められます。
4.ロタウイルスワクチンとは?
ロタウイルスワクチンは、ロタウイルスの初感染時の重症化予防のための経口(口から飲む)生ワクチン(※1)です。
※1)生ワクチンとは、生きたウイルスの毒性を弱めたもので、これを接種することによってその病気に罹った場合と同じような免疫(抵抗力)を獲得するためのものです。
ロタウイルスに感染すると免疫は成立します(抵抗力を獲得します)。しかし、1度感染しただけでは免疫は不完全で何度でも感染を繰り返しその都度軽症化しますが、初感染時が最も重症化します。ロタウイルスワクチンは、このロタウイルスの感染の特徴を利用して初感染時の重症ロタウイルス胃腸炎を予防することが目的です。
ロタウイルスワクチン接種は、原則として同一の製剤で完了します。
現在2種類のワクチン(ロタリックスⓇ、ロタリックⓇ)があり、ロタウイルス胃腸炎重症化の予防効果に差はないことからいずれも使用可能です。
両ワクチンとも、ロタウイルス感染による胃腸炎を約80%予防します。重症ロタウイルス感染症に限ると、約95%を予防するといわれています。
5.ロタウイルスワクチンの接種時期と接種対象者
定期接種の対象は2020(令和2)年8月1日以降に生まれた方です。
ロタウイルスワクチンの初回の接種は、「生後6週(約1カ月半)~生後14週6日(約3カ月と10日)まで」の間に受けましょう。
参考)ワクチンの接種間隔の規定変更に関するリーフレット(厚生労働省)
参考)定期予防接種スケジュール[2020年10月1日~](国立感染症研究所ホームページ)
https://www.niid.go.jp/niid/images/vaccine/schedule/2020/JP20201001.pdf
改正された定期予防接種スケジュールを確認すると、生後2カ月で接種するワクチンが一つ増えて、ロタウイルス、B型肝炎ワクチン、小児肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの4つになりましたね。
変更点2)ワクチンの接種間隔のルール変更
異なるワクチンの接種間隔について、注射生ワクチン同士を接種する場合は27日以上あける制限は維持しつつ、その他のワクチンの組み合わせについては、一律の日数制限を設けないことになりました。
この経緯は、経口生ワクチン(ロタウイルスワクチン)や不活化ワクチンについては、他のワクチンと干渉するというエビデンス(根拠)がなかったり、その可能性が低いことから、諸外国と同様の水準に見直しがかけられたためです。
繰り返しになりますが整理すると以下の通りです(※2)。
・注射生ワクチン → (次回、異なる)注射生ワクチンを接種する場合:27日以上あける
・他(経口生ワクチン、不活化ワクチン)の場合:接種間隔に制限なし(翌日に接種可能)
ケース1)注射生ワクチン → (次回、異なる)経口生ワクチン、もしくは不活化ワクチンを接種する場合
ケース2)経口生ワクチン → (次回、異なる)注射生ワクチン、経口生ワクチン、もしくは不活化ワクチンを接種する場合
ケース3)不活化ワクチン → (次回、異なる)注射生ワクチン、経口生ワクチン、もしくは不活化ワクチンを接種する場合
※2)ワクチンの種類
注射生ワクチン:麻疹風疹混合ワクチン、水痘ワクチン、BCGワクチン、おたふくかぜワクチンなど
経口生ワクチン:ロタウイルスワクチンなど
不活化ワクチン:ヒブワクチン(Hibワクチン)、小児用肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、4種混合ワクチン(DPT-IPVワクチン)、日本脳炎ワクチン、季節性インフルエンザワクチンなど
ロタウイルスワクチンは高価で3万円ほどしていたのですが、今回の改正で定期接種になったことで公費負担になることは大きいです。
また、接種間隔の変更は、生活上接種しやすい環境になることが期待できます。くれぐれもルール上接種が可能な期間であっても、接種から数日間は、発熱や接種部位の腫脹(はれ)などが出ることがありますので体調を確認し医者に相談の上、接種を受けてくださいね。
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