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この化学構造の医薬品は何でしょうか?

こんにちは、薬学個別指導/薬学オンライン家庭教師・自習スペース・イベントスペース運営の「Commew(コミュー)」です。

本日は「糖尿病治療薬」のお話をさせていただきます。

近年、血糖コントロールには、食事の摂取などにより消化管から産生されるホルモン「インクレチン」が関与していることが明らかになっています。
インクレチンは、血糖値が高い場合に腸管から分泌され、膵臓からのインスリン(血糖値を下げるホルモン)分泌を促進し、その結果、血糖値が低下します。
しかしこのインクレチンは、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)と呼ばれる物質によって分解され、その活性を失います。

このインクレチンをターゲットにした糖尿病治療薬には、インクレチンの分解酵素であるジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)選択的阻害薬と、インクレチンのアナログ製剤であるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の注射製剤があります。

今回は「ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)選択的阻害薬」に注目してみましょう。

上述の通り、DPP-4はインクレチンを分解する酵素です。
そこでDPP-4の働きを阻害すると、インスリン分泌を促進することができ、血糖値を下げることができます。
このような作用機序により、血糖値を下げる働きをするのがDPP-4阻害薬です。

ではそのDPP-4阻害薬について問題です!
「次のうち、胆汁排泄型のDPP-4阻害薬はどれでしょうか?」
A. ジャヌビア(成分名:シタグリプチン)
B. ネシーナ(成分名:アログリプチン)
C. トラゼンタ(成分名:リナグリプチン)
D. スイニ―(成分名:アナグリプチン)







正解:C. トラゼンタ(成分名:リナグリプチン)
C以外のシタグリプチン、アログリプチン、アナグリプチンは「腎排泄型のDPP-4阻害薬」であり、未変化体が主に腎臓から排泄されます。
従って、腎機能に応じて減量する必要があります。
それに対し、「胆汁排泄型のリナグリプチン」は、腎機能障害合併の患者さんにも投与量を調節することなく使用できるのが大きな利点となります!

また、リナグリプチンは他のDPP-4阻害薬とは異なりキサンチン骨格を有します(冒頭の化学構造はリナグリプチンです)。
この化学構造の特徴から、DPP-4受容体の活性部位に強力に結合すると考えられています。
ご参考になれば嬉しいです!

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