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タミフルの化学構造において代謝活性体に変換される部分は?

こんにちは、薬学個別指導/薬学オンライン家庭教師・自習スペース・イベントスペース運営の「Commew(コミュー)」です。

インフルエンザの流行が心配な季節ですね。
ニュースでも患者数が例年より多いとよく取りあげられています。

そこで今回は「タミフル」について書きます。
タミフルはインフルエンザ治療薬で、その成分名は「オセルタミビル」です。

インフルエンザウイルスは、宿主細胞から別の細胞に感染を広げる際、自身が持つノイラミニダーゼを利用し、宿主細胞から出芽・放出します。
オセルタミビルは、そのノイラミニダーゼを阻害することでインフルエンザウイルスの出芽・放出を阻止し、その増殖を抑制します。

ちなみにこのオセルタミビルは、生体内で何らかの変換を受けた後に活性を発現する薬物、つまりプロドラッグの一種です。

さぁ、ここで質問です。

「オセルタミビルの化学構造におけるa~dの部位のうち、生体内でどの箇所が変換され代謝活性体になるでしょうか?」







正解:b
オセルタミビルは内服後、肝臓にある代謝酵素であるカルボキシルエステラーゼによりbのエステルが加水分解され、活性物質へ変換されます。

では次の質問です。
「ではなぜ、その活性体のまま投与しないのでしょうか?その理由は?」







正解:吸収が悪いため、です!
活性体が有することになる「カルボキシ基」にその答えがあります。

どういうことかと言うと、
タミフルは経口薬であり、腸を主とした消化管から吸収されます。
しかし、カルボン酸のような極性基は細胞膜に対する透過性が低く、このままでは吸収が困難です。
そこでエステルで保護し脂溶性を上げることで、経口吸収性を担保しています。

医薬品はその効果や副作用にのみ目線が行きがちですが、化学構造を見ることでより深い知識を身につけることができます。
ご参考ください!

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